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命のカウントダウンに寄り添って

前回は療養場所についてお話ししました。

今回は、残された時間の過ごし方について書いていこうと思います。

訪問診療に同行していると、しばしば「IC(インフォームド・コンセント)」の場面に立ち会うことがあります。

ICとは、患者さんやご家族に病状を説明し、治療の方針について同意を得ることを指します。状態が悪化した際にどのような治療方針をとるのか、今後どのような経過が予測されるのかなど、大切な話し合いが行われます。

中には、残された時間をお伝えしなくてはならない場面もあります。

医師は、これまでの病状の経過や血液検査、画像検査などのデータをもとに、患者さんの残された時間を慎重に予測します。もちろん誤差はありますが、実際にはその予測が大きく外れることは多くないという事実に、当初私は驚きました。

けれど、本当に驚くべき点は別のところにありました。

それは、医療者と医療知識のない人(ご家族など)では、残された時間に対する感覚が大きく異なるということです。

入職して間もない頃のことです。ある患者さんが体調を崩され往診依頼があり、診察に伺いました。診察後、医師からご家族へ「予後は2週間程度」であるとのICが行われました。

しかし当時の私は、患者さんにいつもより元気がない様子は感じたものの、会話もできており、まさか「あと2週間ほど」とは思いもしませんでした。

その帰りの車中で私が院長にその感覚を伝えると、「その感覚が大事だと思います」と言われました。

つまり、医療者とご家族との間には、どうしても見る視点の違いが生まれるということです。

相違があること自体は悪いことではありません。むしろ、その違いがあるからこそ、丁寧なICを行い、ご家族に状況を理解していただく必要があるのです。

また、たとえ残された時間が2週間と言われても、亡くなるまでずっと同じ状態が続くわけではありません。

徐々に眠っている時間が長くなり、意識が朦朧として、やがて会話が難しくなっていきます。

残された時間の長さだけでなく、変化の過程を知っていただくことも、安心して過ごしていただくためにはとても大切です。

そしてその患者さんは、医師の予測どおり、およそ2週間で静かに息を引き取られました。

ご家族にとって「残された時間の過ごし方」を考えるのは簡単なことではありません。

どれだけ覚悟を決めようとしても、頭では理解していても、目の前の大切な人が少しずつ変わっていく現実を受け止めるには、心が追いつかないこともあります。

だからこそ私たち医療者は、残された時間の長さだけでなく、質をどう守り、どう整えるかを一緒に考える必要があります。

たとえば、患者さんが誰と、どこで、どんな時間を過ごしたいのか。

痛みや苦しさを可能な限り取り除き、その人らしい生活を最後まで続けるために、どんなサポートができるのか。

こうしたことを一つひとつ確認し、実現していくことが、訪問診療の大切な役割なのだと感じています。

最期のときは突然訪れることもあれば、ゆっくりと近づいてくることもあります。

どちらであっても、私たちにできるのは、患者さんとご家族が後悔の少ない選択ができるよう寄り添い続けることです。

どうしたらよいかわからないという不安を抱えたときにこそ、その気持ちを言葉にしてもらえるような関係を築くことが、訪問診療に携わる者としての大切な務めだと感じています。

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