私は前回のブログでもお話ししたとおり、全くの未経験で医療の世界に飛び込みました。
それまで「訪問診療」という診療スタイルがあることさえ知りませんでした。
そんな私が訪問診療のクリニックで働く中で、日々感じていることや仕事の楽しさ、そしてやりがいについてお話しして行けたらと思っています。
今回は、働き始めてから感じたことに焦点を当てて、率直に書いてみます。
入職してからこれまで、本当に怒涛の日々でした。
なかでも初日は今思い返しても衝撃の連続でした。
出勤してまもなく、院長から「これから“お看取り”に行きます」と告げられました。
当時の私は“お看取り”という言葉の意味がよくわからないまま、同行しました。
車中で訪問診療について簡単な説明を受けながら患者様のお宅に到着し、入室すると、その患者様はすでに亡くなられていました。
その瞬間、大きな衝撃を受けました。
普通の診療とは何か違うものなんだろうと軽く考えていたのですが、私は初めて“お看取り”の意味を理解しました。
同時に、人の生死に関わる重大な業務であることを実感し、身の引き締まる思いがしたのを覚えています。
自分の身近な人ではないし、その日初めてお会いした方でしたが胸が苦しくなり、人の命の尊さと儚さを改めて感じました。
医療の現場で働くという覚悟はあったつもりでしたが、その覚悟がまだまだ浅かったと気付かされました。
初日に見たあの光景は今でも鮮明に覚えていますし、おそらくこれからも忘れることはないと思います。
診察を終えたあと、院長はその場にいたご家族と、患者様の生前の思い出を語られていました。
その会話をそばで聞いていた私は、とても感銘を受けました。
まず、医師と患者様・ご家族との距離の近さに驚きました。
私の中で医師という存在は、遠く離れた別世界の人というイメージでした。
しかし、院長は患者様とご家族に寄り添った診療をして、信頼関係を築いた上でこの最期の時を迎えられたのだと、その会話だけで感じ取ることができました。
訪問診療とはこんなにも寄り添った医療なのだ。
患者様の人生の最期まで支え、見届ける仕事なのだと。
まだ右も左もわからない私でしたが、こんなふうに誰かの力になれるなんて、なんて尊い仕事なんだろうと心から思いました。
あの日の衝撃と気付きは今でも私の中に深く残り続けています。
訪問診療という現場で出会う一つひとつの出来事が、私を少しずつ成長させてくれているのだと感じます。
これからも日々の経験を通して見えたことや感じたことを少しずつ言葉にしていけたらと思います。
まだまだ未熟な私ですが、訪問診療という世界で出会えるご縁を大切にしながら、一歩ずつ前に進んでいきたいです。
MA/T